『失敗しない株式投資』といったタイトルの本が書店に並んでいます。
しかしそんなやり方があるのなら、みんな億万長者になっているはずです。
では、その本の著者は億万長者なのでしょうか。
やり方を知っているご本人なのですから、株で大金持ちなっていなければおかしいですね。
非難するわけではありませんが、少し矛盾を感じてしまいます。
もし私が株のプロなら、『上手に失敗する株式投資』というタイトルの本を執筆して、みなさんにお教えすると思います。
株は失敗するのが当たり前だと思ってください。
なぜかというと2つの大きな要因があります。
1つは大手の投資ファンドが大量買付や売却を繰り返すようになって株式市場が荒れているからです。
従来のように単一の業界や企業をみて、じっくり株の売買をする余裕がなくなっています。
高速化、量的パワーが幅をきかせる時代に入って、株式市場本来の姿が変質しています。
そしてもう1つは、地球温暖化・異常気象という2つの自然現象が猛威を振るうようになってしまったことです。
自然現象だけは人間がコントロールすることはできませんし、株への影響を読み切ることも極めて困難です。
気象情報に特別なコネクションをもつプロ集団だけが市況を先取りできるというわけです。
こうした諸々の事情を考えると、「上手な負け方」を考えることさえ虚しく感じるときがあります。
ここでは自然現象は後回しにし、本題に戻りましょう。
負け方はセオリーの裏返しであり、セオリーどおりのやり方をしなかったが故に、株で大損をしてしまうだけです。
そこでまず株式投資の正しいやり方を学び直し、「自分のどこがいけなかったのか」を発見することが大事になります。
失敗しない投資などあり得ませんが、負けることで正しく反省し、同じ失敗を繰り返さなくすることができれば損失を小さくできます。
株は失敗しないというより、失敗や負けから、賢いやり方を編み出すことができるのです。